introduction

story

夫の暴力に悩まされる雪は、実家のカフェに逃げるように戻る。雪の妹と父親は夫の暴力を知っているにも関わらずそのことに触れようとはしない。翌日、雪は妹を連れ出し外出するが、二人の外出中に夫がカフェを訪れる。雪を連れ戻すために・・・。

message

「カフェ・マジックランタン」の構想を練っている時に考えていたことは「力強い独立心を持った女性」を描くことでした。

 

しかし、男性である私は同時に矛盾した感情もあって「家事をこなし家庭を支える女性」がやっぱり素敵だなとも思っていたのです。いわゆるステレオタイプの専業主婦像です。

 

この「独立心の強い女性」と「ステレオタイプの専業主婦像(男性の願望)」の間を行ったり来たりしながら映画の話を練っていき、そこでできたのが今回の話です。

 

映画の冒頭で夫から暴力を受ける一人の女性は、ステレオタイプの専業主婦のようです。その女性が映画の最後にはどのような決断を下すのか、そしてその決断を下すのに家族はどのような形で力を貸すのかが映画の見所になると思います。

 

"magic lantern"

 

「カフェ・マジックランタン」は東京国立市在住のフリーランス映像制作者の河合承平が作った29分の短編映画です。河合がフリーでやっている仕事で一番多いのは結婚式場でのビデオ撮影です。

 

結婚式場で働いている河合が、この作品で選んだテーマは「夫による家庭内暴力」。結婚式とは真反対なテーマで、「幸せ」とは逆のことをやりたいのかな?と思う方もいるかもしれません。しかし、これはそれほど単純な話ではないのです。

 

私が結婚式を撮っていて思うのは、結婚式は「家族の物語」だなということです。私は10年以上結婚式映像の仕事に関わってきましたが、印象に残っているのはカップル二人よりもその二人の家族でした。

 

結婚式の披露宴ではお色直し中にスクリーンで二人の思い出スライドショー映像などを上映するのが定番なんですが、ここで家族の誰かが涙しているのをよく見ます。私はその瞬間を撮影するのがとても好きで、なぜかというとこの瞬間に見せた涙は過去から現在まで流れてきたその家族だけの時間が凝縮されているように感じるからです。

 

映画タイトルの一部になっている「マジックランタン」ですが、これは「幻灯機(げんとうき)。スライド映写機の原型にあたる機械、あるいはその後身であるスライド映写機の古典的呼称(Wikipediaより引用)」のことです。

 

この「マジックランタン」は単に「映写機」というのをイメージしてつけたタイトルです。結婚式で流れる二人の思い出スライドショーをヒントにつけました。「マジックランタン」で家族の思い出がスライド上映されているイメージです。

 

そしてそのスライドで映されているのが今回出てくる3人の家族です。そしてスライドを構成する物語で描かれてるのは「家族の絆」です。

 

この映画は「夫の家庭内暴力」という大きな問題を抱えながらも家族がいかにしてこの問題と向き合うかを扱った作品になっています。

 

最初は問題から逃げようとする家族が最後いかにして問題と対峙するのかを29分で描ききりました。

 

 

「家族の絆」という「言葉」にしただけでは伝わらないものを「映像」で表現しています。